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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第12章 抗えない【R-18】




すると、背後で人の気配がした。



「レオ」


低く、澄んだ声。



優しさに満ち溢れたその声が。



レオはにんまり笑って振り返る。

「遅かったね」


「私の大事な秘書を泣かせないでいただけませんか?」


「ジ、ジル様、ちが……」


「はいはい、分かってます」


レオは立ち上がると、ジルの横をすっと通り過ぎて、そのまま帰ってしまった。





ジルがこの場を訪れるのはいつぶりだろうか。


少し気まずいような気持ちになり、イリアは顔を俯かせる。


(レオとの話…聞いてたのかな)


「イリア」

すぐ間近で名を呼ばれ
はっと顔を上げる。

「あ」


目の前に、愛おしい深紫の瞳があった。



「レオには打ち明けて、私には何も教えて下さらないのですか」

「いえ、そんなつもりは…」

「レオにそのような涙を見せて…私には何も見せて下さらないのですね」

「ジル様…」

ジルの顔から、笑みが消え
細い指がイリアの顎をとらえる。


「私と交わした約束もお忘れですか?」

「えっ」


「……貴女には、お仕置きが必要なようですね」

「……えっ」



息を継ぐ間も与えずに
ジルはイリアの唇を塞いだ。


「……んっ」


強引にこじ開けられた口の中に
ジルの舌がねじ込まれ
歯列をなぞり、イリアの舌を食む。


「…ん……んん…っ」



水音をたてて唇が離れると
ジルは続けて言った。


「あの日の朝……私にはすぐわかりました…あなたが『男』に抱かれてきたことが」


「っ!」

イリアの顔が紅潮する。


「やはり、シドなのですね」


イリアは顔を上げることができなかった。


少し沈黙が続いた後
ジルが切り出した。


「……あの日、貴女は私のために焼き菓子を用意して下さっていたのですね」


「え」


「貴女は私の帰りを待っていたのに、答えることができませんでした。シドに貴女を奪われたのは、半分私の責任でもあります」

「そんなこと」

見上げると、ジルの顔は苦しそうにゆがめられていた。

「でも」

イリアの頬に、ジルの手が添えられる。




「そのようなことで、私は貴女を手放すことは…決してできません」




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