第12章 抗えない【R-18】
ジルはイリアの唇をそっと親指でなぞり
風に揺れるブルネットの髪を耳にかけた。
「もう二度と、貴女が他の男に取られないよう
私も細心の注意を払うことにしましょう」
「ジル…さ…」
すると、ジルはあらわになったイリアの耳を優しく食み、舌でそっと舐め上げた。
「…ひぁっっ…」
「シドに、どんな顔を見せたのです?」
舌に濡らされた耳に、ジルの吐息混じりの声がかかり
甘いしびれが全身を走る。
「…や……それは…」
「なぜ正直に私に話さなかったのです?」
「あ……ジ、ル…さま」
ジルは眉根を寄せて、掠れた声でささやいた。
「……今日は、朝までお仕置きをすることにしました」
「え……あ」
戸惑うイリアのひざ裏に腕を入れると
ひょい、とイリアの身体を抱きあげた。
「二人きりの時の約束を、破りましたね」
「え」
…様をつけないで欲しい
別邸で交わした約束が頭に浮かぶ。
「あ…」
距離を自然と作っていたのは
自分にも一理あった、と
イリアは改めて
ジルの顔を見つめる。
「…ごめんなさい、ジル」
イリアはジルの首に両腕を絡めた。
「いいのですよ、イリア…今までのことは全て…」
ジルの、深紫の瞳があやしく光り
妖艶な笑みが浮かべられる。
「…身体で、償っていただきますから」