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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第11章 すれ違い






「あの時は…また恐ろしい予知でもなさったのかと思いましたが」


「ある意味、恐ろしかったので…」

苦笑しながらイリアは答えた。


時計塔の上。

二人だけで星の観察をしながら
数日前に起きた「事件」の思い出話をする。




空はすっかり秋の星空になり

空気は僅かに
冬の足音を立てていた。


「イリア、これを」

ジルはイリアの肩に
ロイヤルグリーンのストールを掛けた。

「ありがとうございます…ジル」




「イリア、今度の休みですが…」

ジルは、ストール越しに後ろからイリアを抱きしめながら
遥か遠くを見据えて言った。

「少し遠くへ行きましょうか」

「遠くへ…ですか?」

「ええ………あまり人のいない綺麗な湖があります」

「素敵ですね」

イリアは後ろのジルへ頭をもたれかけた。
ブルネットの髪がさらりと流れてこぼれる。

「少しだけ…早起きして頂けますか?」

「もちろんです、じゃあ……ジル?」

首だけ後ろを振り返ると、ジルは小さく首を傾げている。

「前日の夜は…早く寝かせて下さいね?」


意味を理解したジルは、くすりと笑ってイリアの髪をかきあげた。

「貴女にそう言われると……意地悪をして差し上げたくなります」

そう言って、イリアの額に唇を寄せる。


額に、ジルの温もりが広がり

幸せが、イリアの身体中に広がっていった。




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