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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第11章 すれ違い





別邸からの帰還後

イリアとジルは
表向きは今まで通り「側近と秘書」という関係のままだったが

二人きりの時間は
「恋人」として過ごすようになった。



生活スタイルは変わらないものの
「恋人」になってからは

仕事中のやりとりも
夜の星を見上げることも
休日を共に過ごす時間も

今までとは全く違う
輝いた至福の時そのものだった。



イリアはますますジルを尊敬し、思い、尽くし
ジルはますますイリアを慈しみ、愛し、守ろうとしていた。






イリアはあれ以来
凶事の未来予知を見ることはなく

星詠みは
王宮行事の日程を決めたり
プリンセスとハワード卿のことや
国王陛下の体調面に関して
主に役立てていた。



一度だけとても役に立った未来予知が一つある。




「ジル様!!!」

まだ午前中。
ティータイムの直前の時分だった。

ジルの執務室には
あり得ない人物の呼び声が響く。

「イリア…こんな時間にどうしたのですか」

ジルは心底驚き
執務机の書類から顔を上げた。

走ってやってきたのか、肩で息をして
一応服は着替えているものの、髪は下ろしたまま乱れている。

「ごめんなさい、こんな恰好で…でも、緊急事態です!」

緊迫した様子に、未来予知で凶事を見たのかと察したジルは
すぐさま立ち上がりイリアの元へ駆け寄った。

「急いでください!!」









ジルは一人
庭の方へ向って走っていた。

普段冷静で走ることなど殆どないジルが
…走っていた。


「プリンセス!」


庭先では
プリンセスがユーリに紅茶を淹れてもらっているところだった。

午前中のダンスレッスン後の休憩だったのか
3日後に開催される舞踏会で着るドレスを着ていた。

「…ジル?」

紅茶のカップを手に取ろうとしていたプリンセスの元へ
ジルが走った。

その瞬間

茂みから黒い影が


プリンセスの方へ飛びかかろうとして……


「危ない!」


ジルはそのまま

その黒い影を………


両手でキャッチした。






「ミケランジェロ!」


ジルの胸の中に抱きとめられたミケランジェロは
そのままダイブしていたら

おそらく舞踏会のドレスは紅茶の染みだらけになっていたところだった。




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