第10章 浄夜【R-18】
肩で息をしながら
ジルはイリアの身体を抱きしめながら横たわった。
深紫のその長い髪が
汗ではりついているのも
イリアには愛おしく見える。
「……ジル…」
向き合ったイリアは、深紫の瞳を覗き込みながら言った。
憧れ、尊敬していた人のことを呼び捨てにするのは
少しだけ気恥ずかしかった。
呼んで、少し顔を赤らめると
ジルは優しく微笑みながらイリアの髪を優しく撫でた。
「イリア……」
「ジル……私も、ジルが好きです」
深紫の瞳が、少しだけ見開いた。
「あ、あの……ちゃんと答えていなかったので…その…」
「ありがとうございます」
ジルはそっとイリアに額を重ねた。
「ジルと会えずに城下で過ごしていた頃」
イリアは呟くように話し始めた。
「…明け方の空の中に、あなたの瞳の色を探していました」
額を離し、ジルはイリアの顔を覗き込む。
「ありましたか?」
はにかむイリアはうなづいた。
「毎日、探していました」
ジルはそっとイリアの髪を撫でる。
「ずっと……ジルを探していました」
「それは…私も同じですよ」
どちらともなく、自然に唇が重なった。
「………ん」
「私のそばに……これからもいてくださいますか?」
ジルの問いに、イリアは深くうなづき答える。
「…ずっと、ジルのそばに置いてください」
ジルは優しく微笑むと
再び唇を重ね、深めていった。
そして何度も何度も
今までの距離を埋めるように
お互いの思いを確かめあうように
身体を重ね合った。