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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第9章 別邸



「……予知を、したのですね」

意識のないイリアをベッドに横たわらせ
傍らでジルはそう呟いた。

「こんなに青ざめて……」

赤みを失った白い頬を、ジルはそっと撫でた。

(貴女がつらく苦しんでいる時に、そばにいてあげられませんでしたね)

王宮に残してきてしまったことを、今更悔やんでしまう。

(無理にでも連れてくるべきでした)

しかし、イリアが騎士団を引き連れて来てくれたからこそ、助けられたという事実もある。

「あ……」

榛色の瞳が、ゆっくりと開かれ
ジルの目線と重なった。

「ジル様……」

「……イリア」

ジルは、目覚めたばかりのイリアの身体を抱きしめた。

「えっ……ジル様?」
「無理を…しましたね?」
「……い、いえそんな」
「予知をして……私たちを助けてくださったのですね」

そう言われて、またイリアの脳裏にあの赤がよぎった。
そして、ジルの体温の温かさが伝わり
あの赤を打ち消してくれる。

最悪の未来は、回避できたのだ。

自然と、涙がこぼれ落ちる。
止められない。


「……っ、ジル様……」

嗚咽がまじるのも構わず、イリアはジルの背中に手を回ししがみついた。

ジルは優しくイリアの頭を撫でる。

「大丈夫ですよ……犠牲者はいません。貴女のおかげです…」

「ジル様……ジル様が……!」

イリアは予知したビジョンを伝える。

「辛かったですね、そのような凶事を目の当たりにして……」

ジルはイリアの涙を拭い、優しく微笑む。

「今度から私も、護身用の短剣くらいは持ちましょう。……こう見えて、多少は剣術の嗜みはあるのですよ?」

安心させるように、ジルは告げた。

「貴女が怖い思いをしている時にそばにいて差し上げられなかったお詫びに、今夜は…そばにいてもよろしいですか?」

「ジル、様?」

ジルは、イリアの頬を両手で包み込むと




そのまま、優しく唇を重ねた。



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