第5章 再会
イリアの口から語られた真実。
シドの話。
まだ一口も飲んでいないのに
まるで酒に酔ったような感覚だった。
「……では、あなたは不定期に未来を垣間見ることができる、というのですね?」
「…はい。星からもある程度予測は出来ますが…時折はっきりとしたビジョンを見ます」
こんな特殊な力を持った人間が、このウィスタリアに存在したとは。
そして、自分が会っており
目を奪われていたとは。
「ま、そういうことだからな…わかったろ?こいつに国家を揺るがすようなたくらみはねえよ」
「ええっ?!」
イリアはシドの言葉に驚いてのけぞりそうになる。
「あ、いえ、すみません…シドの行動が不可解だったので、つい勘ぐってしまったのです」
ジルは釈明するように答える。
すると、部屋の扉がノックされ、給仕がシドに耳打ちをした。
「ああ、わかった」
するとシドは立ち上がり
「悪いが、今追ってる別件の人物が来たようだから、俺は行かせてもらう。ジル、まだ聞きてえことがあんならここは自由に使ってくれ」
「はい、ありがとうございますシド」
ジルと二人きりでこの部屋に残されることを察したイリアは焦った顔をしていたが
「お前、どうせ腹減ってんだろ?ここは全部俺のおごりだ、好きなだけ食ってけ」
そう言ってさっさといなくなってしまった。
部屋に残されたジルとイリア。
恐る恐るこちらを伺い見るイリアに、ジルは微笑んで言った。
「せっかくですから……一番高いものを頼みましょうか」
ほころぶ彼女の顔が、たまらなく愛おしく見えてしまった。