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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第5章 再会



Jill side----



指定されたレストランへ着くと
入口にはシドがいた。

「よぉ」

シドの様子はいつもと変わらない。

「本当に『依頼人』に会わせて頂けるんですね?」

訝しむジルに、シドはふっと笑う。

「ああ。全部わかる」




あれから事の真相を自分なりに思案してみたものの
やはり答えは出せずにいた。


シドがもし事前にはっきりと相手を掴んでいれば
自らがパーティに赴く、という方法は取らなかったはずだし


掴んでいなかったとしても
シド自身が王宮に仕える身でも柄でもない。

プリンセスを守るメリットが彼にはない。


プリンセスが狙われることを守ろうとすることで
「得」をする人物……かつ

シドにここまでさせる人物。


そこまで考えて、思い当たる人間がいなくなってしまい
ジルは考えるのをやめてしまった。


(事情によっては今後監視をつけることも検討しますが…)

ひとまず「手出しをしない」というシドからの条件を飲み
ジルは『依頼人』と呼ばれる「真相」を知ることを選んだ。



シドは、指定された奥のVIPルームへと
慣れた様子で歩いていき、扉を開ける。

「なんだ、もういたのか…はえーな」

中の人物に親しげに声をかけている。

(一体どんな相手なのだろう…)


ジルは少し警戒しながら
恐る恐る中を覗いた。








「………!!!」






その瞬間
深紫の双眸は見開かれ

滅多なことでは高まることのない胸の鼓動が
一気に跳ね上がった。




……そして

目の前にある、榛色の双眸も
同じように大きく見開かれ

まるで時間が止まったかのようだった。



「……あなたは」



ダークレッドの無地のドレスに、白い肌のコントラストが
ジルの瞳に映る。


シンプルだが、鎖骨の見えるデザインで
プリンセス選定会で会った時とはまるで別人だ。


「……ジル、様…どうして」


事情が呑み込めていないイリアは頬を紅潮させてぱちぱちと瞬かせる。


シドはにやりと笑って、ジルの様子を伺い見た。

「覚えてんのか?落選者のことも」

イリアから視線をはずせずにいたジルは、はっとなる。


「……彼女は…迷っていて、道案内をしましたので…」


ジルは彼女に目を奪われたことを隠すように答えた。



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