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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第2章 プリンセス選定



(だめだ……もう私、落選確実……)


迷った挙句に案内までしてもらって…

地図も読めないどんくさい女だと思われてるだろうなぁ……


イリアは肩を落として、ジルの後をトボトボ歩いた。


「ところで……?」

ジルは軽く後ろへ視線を投げる。

名前を聞かれたことにはっとなり、慌てて答える。

「…イリアです」

「イリア様ですね、覚えておきましょう」


それがどういう意味なのか

イリアにはわかりかねた。









しばらく進むと

中庭に面した、光の射す廊下に差し掛かった。

(綺麗だな…)

イリアがぼんやりと前を眺めていると




急に目の前が揺らぎ

白黒のビジョンが見えた。





前を歩くジルが

突然中庭から飛来する何かにぶつかりそうになる。




(あ、これやばい…)


「ジル様…!」


とっさの判断で

イリアは前を行くジルの服の裾を掴み

後ろへ引っ張った。



突然の出来事に

ジルは反応する間もなく

イリアに引かれるまま

後ろへよろめく。





「あっ!」

イリアが前のめりに膝をついて倒れ

ジルが後ろへ尻もちをついたその瞬間




バサササッッッ!!!





中庭から何かが飛来して廊下に舞い降りた。


「えっ……鳥??」


顔を上げ、飛来したものを確認したイリアが声を上げると

「……何かと思えば……セバスチャン」





廊下で羽をばたつかせながら

迷いながら何かを探すようにうごめく赤いオウムがいた。

ジルは体を起こすと乱れた髪をかき上げ

セバスチャンと呼ばれたオウムを手に乗せる。



「まったく…貴方のご主人はどこですか?」

「あ!ジル!ごめんごめん」


廊下の反対側から声がする。


銀髪に緋色の瞳の男性が、ジルのもとへやってきた。



「あーごめんジル、邪魔しちゃったね。もしかしてぶつかったりした?」

「いえ、問題ありません…彼女が…」

そう言って、後ろでへたり込むイリアを見やる。

「間一髪で助けてくれました」

「そうだったんだ…ごめんね、えっと…」

銀髪の男性はイリアに手を差し伸べる。


「イリアです…」

手を取り立ち上がるイリアに彼は尋ねた。
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