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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第14章 誘拐




エドガーは
それまでの柔和な微笑みを消し、
苛立ったようにイリアの顎を掴んだ。


「庶民出の小娘風情が!」


イリアはエドガーの顔を見上げ睨みつけた。


「…庶民でも、誘拐すれば犯罪です」


その瞬間
エドガーの手がイリアの頬を思い切りたたいた。


パシンッ。


イリアの顔が大きく右に振られ
ブルネットの髪がふわりと弧を描いた。


髪の間から覗く左頬は
赤くはれだし
口端からは僅かに血が滲みだす。


錆びた鉄の味が
イリアの口内に広がった。



エドガーはイリアの髪を荒々しくひっつかみ
乱暴に顔を上げさせた。



「せいぜい強がっていろ…お前がドレナに渡れば、ウィスタリアはドレナに取り込まれる」

「っ?!」


「…ドレナと交渉を進めるために、グランディエのところの犬を抱き込み、資金を集めてようやくここまできたんだ。

ウィスタリア崩壊の暁には、私は国王側近の地位が約束されている……あと少しだ」


エドガーはひとり言のようにそう告げると

まじまじとイリアの顔を見つめた。



そして

全身を舐めまわすように見ると


「……お前、王宮では他の仕事もしていたんじゃないのか」


「え?」


再び顎が捉えられると
今度は吐息の届く距離にまで迫られる。

「……っ!!」

「…王宮の男たちの…閨事の世話など…していてもおかしくない身体をしている」

「な、にを…」

エドガーの目線が胸元に落とされ
イリアの顔が青ざめていった。


(なに…うそでしょ……)


「ドレナの国王陛下も…さぞお喜びになるだろうな」

「や、めて…」


エドガーの指が鎖骨をなぞり

するする、と下へ降りていく。



「…陛下の使いが来るまでまだ余裕もある。楽しませてもらうか」



服の隙間から
少しずつエドガーの指が入り込む。


…虫が這っているかのような不快感に
全身に鳥肌がたつ。


「いや…やだ……」


「お前に選択権などない」


「や……いやぁぁーーっっ!!」




叫ぶイリアの唇を
エドガーの唇が塞いだ。


(いや…だ……)


イリアの頬に
一筋の涙がつたっていった。


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