第8章 ツンデレなあなた
光秀は寝ている萩を落とさぬ様に抱きしめる
「全く途中までは面白く見ていたものを・・・・・」
萩が着物を着崩した時は驚いたが
情事の事を試合と間違えるとはな
「色恋に疎いのか?」
それよりも甲斐のトラだ
抱きしめるまではまだ目を瞑るが
べたべた触った挙句に胸に印を残すとはな
寝ている萩の胸元を見つめると
信玄の口づけの跡がクッキリ残っている
「安土までは一刻くらいか」
静かに馬を速度を落とす
夕方になり少し肌寒くなったのか
萩が光秀に擦り寄って来た
「み・ひ・・の・・わる」
「ふふっ」
眉間に皺を寄せていたのに口元に笑顔で浮かべる
「・・・何だ萩?」
寝言に問いかけると
「だ・すき・・・・さ・」
「好き?誰をだ?」
「みつひでさん・・・・・」
フッと微笑む
「俺もお前が好きだ」
そう言うと左胸に口づけを落とす
「っん」
「信玄の印は気に食わぬがまあいい
今回はこれで許そう」
左右の胸にクッキリと口づけの跡がついている
自分の羽織を脱ぎ萩を包むと
安土に向け出発する
日が沈みきる前に安土城に帰って来た
「おかえりなさいませ光秀様。萩様はお休みになられていらっしゃるのですか?」
「ああ、信長様達は広間にいるのか?」
「はい。お帰りをお待ちしております」
「では、報告に行くか」
萩を横抱きに抱え三成と共に広間に向かう
「信長様、光秀様がお帰りになりました」
「入れ」
広間に入り萩を膝に乗せ座ると報告を始める
「という感じで萩はなかなかいい仕事をしてくれました」
平然とある事無い事を織り交ぜ報告を済ませる
「光秀、萩に怪我は無いだろうな?」
「ああ『怪我』は無い」
怪我はなと、ニヤッと笑う
「んっ・・・あれここは?」
「萩目が覚めたか?ここは安土城だ」
目を擦りながら辺りを見回す
「あっ!ただいま帰りました」
「降りろ、俺は疲れたので御殿に帰るまたな萩」
頑張れよと耳打ちをして広間を後にした
「????」
光秀を見送ってから立ち上がると羽織っていた羽織が落ちた
「「「「「なっっ!?」」」」」