第7章 兄様の休日
支度を終え家康と厩へ向かう
信長「萩今日は俺と一緒の馬に乗れ」
萩「はい兄様」
(そうだよね、この着物じゃ1人で馬には乗れないよね)
馬上から萩を引き上げ
信長の前に横向きに乗せられる
家康も自分の馬を連れてきて飛び乗る
三成「いってらっしゃいませ」
信長「夕餉までには帰る」
萩「行ってきます三成君」
家康「・・・・いってくる」
馬の腹をけり2頭の馬は走り出す
城下を抜け森に入る
昨日までの雨で少し森の中はひんやりしている
頬に葉っぱから落ちてきた滴が掛かる
萩「きゃっ!びっくりした」
信長「昨日まで雨だったからな」
家康「いちいちその位の事で騒がないでよ」
萩「うっ・・ごめん」
家康「これでも頭から被ってなよ」
隣の馬上から丸めた羽織を投げて寄越してきた
萩「ありがとう家康」
にっこり微笑んでお礼を言うと
家康「別に//秀吉さんから渡されてただけだし」
信長「相変わらずだな貴様は」
にやっと笑みを浮かべると
頬を赤く染め家康はそっぽを向く
森を抜けて半刻ほど走り湖の近くに馬を止める
萩「湖があるんですね、魚いるかな?」
家康「覗き込んで落ちないでよ」
馬から降りて湖を覗き込む萩に馬を木に括り付けながら声をかける
信長「萩、ちょっとここに来い」
萩「どうしたの兄様?」
小走りに信長の隣に来ると
信長「少し腕を上げてじっとしていろ」
萩「??」
小首を傾げ家康を見るが家康は空を見上げている
釣られる様に空を見上げると
信長が指笛を鳴らす
ピィィーー
すると1羽の鳥が上空を旋回する
萩「あれって・・・鷹?」
こちらに向かって急降下してくる
萩「えっ、降りてくる!?」
思わず後ずさろうとすると
家康が後ろから背中を支える様に手を当てる
家康「危ないから腕を上げたまま動かないで」
萩「わ、分かった」
仕方なく腕を上げジッとすると
羽音が近づき次の瞬間に腕に重みを感じる
視線を腕に向けると1羽の鷹が止まっている
信長「久しぶりだな」
鷹の頭を撫でると
もっと撫でてと頭を寄せる