第24章 小谷城 5日目
お菊「萩さまいらっしゃいますか?」
菻「はーい。どうぞ入って」
襖を開けて入って来たお菊をニコニコ微笑み出迎えた
菻「な~に何か用事?」
お菊「此方をご賞味くださいませ」
スッと目の前に出された物は
菻「これは・・・もなか?」
お菊「はい。中には小豆を煮た餡がたくさん詰まっております」
菻「何でもなか?他に何かあるでしょ?」
お菊「は?他ですか?」
菻「そうだよ!例えばもなかの中身は餡じゃ無くて唐辛子とか」
お菊「え!餡じゃ無いって
そ、そんな事とあるわけないじゃないですか!!
これはもなかで中身は餡で甘味です!ちゃんと渡しましたからね私はこれで失礼いたします!」
慌てた様子で甘味を菻に無理やり手渡し急いで部屋を出て行った
菻「あ~あ、楽しみにしてたのにただ甘味を渡しに来ただけとかつまんないの」
お皿に乗ったもなかを一つつまんで期待を持って割ってみたがお菊が言っていたとおり中身はたくさんの餡がぎっしり詰まったごく普通のもなかだった
パクッと食べれば口の中に餡子の甘みが広がり美味しくて綺麗に完食した
菻「暇だし城の中でも見て回ろう・・・あれっ?」
立ち上がるが足に力が入らずへにゃへにゃっと座り込んだ
(ああヤバイ・・・ただのもなかじゃなかった・・・毒入りって白雪姫みたいじゃん)
目が霞んできてかろうじて萩の持ってきていた荷物つかんだ
佐助「菻さん!」
お菊を見張っていた佐助が帰って来て異変に気付き天井裏から飛び降りて来た
菻「さすけ・・・やばいかも・・・姉さま・・・の・・・ところに・・・・・」
佐助「菻さん!すぐに連れて行きます!!」
佐助は菻を抱き上げ急いで城を出て行った
信玄たちが宿泊しているはずの宿に到着したが誰も居なかった
佐助「菻さん暫く待ってて萩さんを捜して来る」
力なく頷く菻を褥を引き横たわらせ佐助は姿を消した