第21章 小谷城 2日目
お菊「赤尾さんおはようございます」
赤尾「お菊殿おはようございます」
お菊「そちらの方が昨日長政様がお連れになった姫ですか?」
赤尾「どこでそれを?」
お菊「女中達が噂をしておりましたので
八重姫様がぜひご挨拶したいと
萩様を八重姫様のお部屋まで連れてきて頂けますか?」
萩「八重姫?」
赤尾「長政様の御側室です」
長政に側室が居ることを聞きびっくりした
赤尾「しかしなぜ萩様が行かなくてはならないのでしょうか?
挨拶がしたいのであれば八重姫様が萩様のお部屋へ足をお運びになれば宜しいかと」
お菊「は?そちらの姫が八重姫様のもとに来たら宜しいではないですか」
格下の武家の出の八重姫が足を運ぶのが当然だと思った赤尾はさも当然のように言った
しかし、突然現れた萩を八重より格下だと思い込んでいるお菊は譲らない
萩「あの赤尾様、私が八重姫様のお部屋へ行かせていただきます」
赤尾「しかし・・・」
萩「案内していただけますか?」
赤尾「(長政様に報告に行くか)萩様、私は少々私用が出来ましたので失礼いたします」
お菊「(家臣を様付けで呼ぶなんて・・・)では私、お菊が八重姫様のお部屋へご案内いたします」
萩に冷ややかな目を向けるが笑顔を顔に張り付け八重のもとへと連れて行く
お菊「八重姫様お菊で御座います」
八重「入りなさい」
襖を開くと長い黒髪に黒い瞳の可愛らしい女の子がいた
品定めをするように萩の頭のてっぺんから足の先まで見つめ冷たく微笑んだ
萩「貴方が八重姫?」
八重「ええそうです。しかし、人に名前を尋ねるときは御自分から名乗る物では?」
萩「申し訳ありません。私は萩と申します」
八重「全く教養がなってない、まあそのような着物しか持っていないようですし仕方がありませんわね」
お菊「まあ!八重姫様そのような事を仰られては萩様がお可哀想ですわ」
そう言いながら二人はクスクス笑いだした