第14章 磯辺に鬼鮫 ー裏ー

「いや、そうでもない！そうでもなくなった！止め止め！今日の分終わり！終了！ぅぎゃッ、いった、痛いィッ、違う、こんなのは違いますよ干柿さん!?」

「それはあなたがものを知らないだけです。黙ってりゃそのうち良くなるから我慢しなさい。そもそもあなた相手に手加減しようとするから調子が狂う。全く失敗しましたよ」

「痛い痛い痛いッ!!止め、止めて、止めろこのッ!!」

「煩いですねぇ。どうせ喚くならもう少し空気を読んだ喚き方をして下さいよ。私だからいいようなものの、大概の男は引きますよ、これじゃ」

「引けばいいんですよッ、あだッ、つ…ッ」

「本当に痛いんですねえ。さっきまでの慎み深さが吹っ飛んでますよ？」

「それどこじゃ…ぃだたッ、いッ」

「鳴かないで喚く、実にあなたらしい」

「鳴くって何だ？泣き喚いてんだ、こっちは！」

「………」

「あッ、今度は何だ!?止せ、止めろッ」

「……」

「ぅぶ、ちょ、足…ッ、あッ、あッ、あーッ、止めてぇえ!!!」

「…ホント何であなたなんかがいいんでしょうねぇ、私は」

「こ、こっちの台詞ですよ!?何この格好!?何なのこの格好!?何!?何すんの、これェ!?」

「黙ってりゃ良くなんだから黙ってろって言ってるでしょうが!?煩すぎなんですよ、あなたは!!」

「何が!?何が良くなんの!?何が何だかさっぱり…だだッ、ちょ、私、こんなカッコする為に関節使った事ないですよ!?その方向は私の可動許容範囲にないと思…ぅぎゃッ、痛ッ、いったッ、ホラな！ホラな！痛い痛い！足とれる！足もげますって！あだだだ、やだ、マジやだ、止めて下さい、干柿さん!!」

「…もういいですよ。あなたが黙らないなら私が黙ります」

「え？止めて下さい。黙られると本っ当に怖くなるじゃないですか！話しててくれないと気が紛れない…ぅえ…ッ」

「鬱陶しい人ですね!?何だってまたえづき出すんです！そんなに厭なら何だってやっちゃったんですか!?いよいよホントの馬鹿なんですか、あなたは!!」

「不安なんです！だから見て聞いてたいんですよ、察しの悪い!干柿さんじゃないと困るから…ぅあだだだだだだだだッ！こッ、腰折れる!!ぅおえッ」

「……可愛らしい事を言うのならもっとわかり易く可愛らしい態度をとったらどうなんです。分かり辛いんですよ、あなたのそういうところ」