第10章 隠れた気持ち
「あの頃、毎日寂しい思いをさせたかもしれないけど、本当に一番大切で、俺にはしか考えられなくて、それはこれからもずっと変わらないと思ったから、」
あの日渡せなかったモノをポケットから取り出した。
「今すぐには無理だけど、受け取ってくれませんか。」
小さな箱を開けて、中で光るリングを見たの目が大きく開いて、すぐに涙ぐむようにして俺を見上げた。
「翔、くん、これ・・・」
「うん、あの時渡そうとしたんだけど、渡せなくて。」
「・・・っ、」
泣くを見て、どうしていいかわからなかった。そんな顔を見せられたら、ほんとに期待しかできなくなる。
「・・・なんで泣くの。」
「ご、っめんなさい・・・」
「・・・うん、知ってる。」
断られる準備は出来ていた。だけど、やっぱりキツいものはキツイ。俺の答えに、がすぐに否定する。
「ちが、うのっ、好きな人な、んて・・・」
「え?」
「いないの、ごめんなさい・・・、」
弱まる声に理解ができなかった。
「・・・どうい、う」
「・・・好きだった、ずっと翔くんしか私の中にはいなかった。だけどあの頃、自分のせいで私が悲しんでると思う翔くんを見るのが辛くて、気にしてないフリして、翔くんを悲しませたくなくて、本当の気持ちもいつの間にか言えなくなった。」
「・・・、」
知っていたのに。が我慢してるってわかってたのに、俺にとってそれは都合がよくて、理解してくれる彼女に甘えて、後回しにしていた。
「・・・翔くんが悪いんじゃない、言えなかったのは私。好きだから、嫌われたくないから、頭の中はそればかりで、」
流れる涙が追いつかなくなって上手く話せないの濡れた頬を指で拭った。
「・・・、」
「・・・・・・、」
まだ目に涙を浮かべる君を見て、これは昨日の夢の続きなのか、と疑った。
「俺、寂しかったよ。」