第10章 隠れた気持ち
一歩部屋に入るとすぐに後ろの扉に鍵をかけて、に手を伸ばし、気づけば腕の中に懐かしい香りを抱いていた。
「・・・っしょ、」
の背中に回した腕にさらに力が入ると、腕の中で苦しそうに名前を呼ぶ。
「しょうっくん・・・っ」
その声で我に返る。
「・・・ごめん、」
「・・・ううん。」
何をしているんだ。何のためにここに来たと思っているんだ俺は。靴も脱がず、玄関に立ったまま話し始めた。
「、1年前に伝えてないことがあって。」
少し間が空いてが「うん、」と頷く。
「にもう別の人がいるって知ってても、それだけは言わないと、前に進めなくて。」
もう君の幸せを願うだけじゃいられなくて。気持ちが溢れてしまう。これが最後だから。これが終われば、閉じ込めるから。