第10章 隠れた気持ち
1年前のあの日、プロポーズのつもりで買ったエンゲージリングを片手に、突然別れを告げられた。
「・・・え、」
「・・・好きな、人ができたの。」
「・・・そ、っか。」
「・・・ごめん、なさい。」
「いや、うん、そうだよね。」
「・・・、」
「、最後まで寂しい思いさせてごめん。」
「翔くん、私」
「・・・ごめん、俺、ちょっと今無理だわ。」
そのまま逃げるように部屋を出た。カッコ悪い、終わり方。後悔しかない、終わり方。
なんで、好きな人って何、相手は誰なの、別れたくない、好きなのに、・・・なんてカッコ悪くて言えなかった。ただ、右のポケットに隠しておいたソレが急に重くなる。
「・・・自業、自得。」
マンションの下で一人になって呟いた。こうなったのは全部自分のせいだ。