第7章 突然のドライブは
横浜の海沿い、港に着くと車を停めて少し外へ出た。夜も過ごしやすい5月でも、海の近くはまだ肌寒かった。翔くんが「んー!」と背筋を伸ばすように両手を上げる。
「運転、疲れたよね?」
仕事おわりでそのまま運転、キツいに決まってる。
「いや、久しぶりに自分で運転したから楽しかった。ちゃんこそ、眠くない?てか寒い?」
「ううん、大丈夫。」
よかった、と言って、翔くんは港に浮かぶ夜景に目を向ける。
「時間帯がね、もうちょい早ければ光も多いんだけど。」
やはり深夜にもなると街も静まり、灯りが消えている場所が多い。まだポツポツと灯りのともる場所が花火のようにキラキラと輝く。
「それでも綺麗だね。」
「うん、」
しばらく沈黙が続いたが、気にはならなかった。さっき車の中で一人、気を張っていたのがバカみたいに思える。