どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第7章 一次試験、開始
ヒソカの言葉に、ゴンが答える。ゴンは、はじめはいつもの元気の良い声だったが、途中、ごにょごにょと少し口ごもった。
私(サチ)のことを気遣ってくれてのことだろう。
「ふぅん。つまり、待ち伏せてたんだ」
ヒソカが流し目でこちらを見るので、サキは腕を組み彼を横目に睨んだ。
「人聞きが悪いわね。偶然だって言ったでしょ。それから」
と、サキはゴンを見る。
「いいわよ、サチって呼んでも。別に隠してないし。ってかコイツもう知ってるし」
「え、そうなの!?」
ゴンは驚きつつも、ホッと胸を撫で下ろしているようだった。
そんな彼に、サキは呆れたように、けれどどこか楽しげに笑う。
『サチの話には聞いてたけど、ゴンって完っ全に隠し事できないタイプよね』
心の中でサキがぼやく。
そんな彼女を見るヒソカの目が、少しだけ細まった。
「隠してるわけじゃなかったんだ。意外だなぁ」
「そりゃあ、どっかの誰かさんみたいにバカみたいに目立ちたいワケじゃないし、やたら滅多触れ回るつもりも無いケド?」
「まぁそう言わないでおくれよ。サチのことも知っているようだし、随分仲が良いなと思っただけさ」
「アンタには関係の無いコトよ」
ニコニコと楽しげなヒソカに対し、サキがつっけんどんに返す。
──鋭いヒソカのことだ。初めて会った日、レストランで私が口を滑らせた“会いたい人達”について探っているのだろう。
なんて考えていると、クラピカがやや首を傾げ、口を開いた。
「そう言う君達はどういった知り合いなんだ?会場(ここ)で初めて話した、という訳ではなさそうだが」
「あー、ほとんど事故よ、事故。じゃなきゃ死んでも“お知り合い”になんてなりたくなかったわ」
サキが心底嫌そうな顔をして、クラピカに言う。するとヒソカが、心外そうにこう言った。
「酷いなぁ。聖夜を共にした仲だろう?それに、毎日通ってくれたんだ、“一夜限りの関係だった”とは言わせないよ」