どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第7章 一次試験、開始
『……ヒソカ、探すんでしょ?最初の“揉めごと”、そろそろ起こるんじゃなかった?』
『あ!そうでした!!』
なんだ、ただの口実だったのか、どおりで……と、私は恥ずかしさから、へへ、と笑う。
サキの大きなため息と共に、ゴンがトンパに話しかける声が、遠く聞こえた。
「トンパさんはさ、ここにいる人達、みんな知ってるの?」
「ん?おぉ、当然よ!よーーし、色々紹介してやるよ!!まずは103番、蛇使いバーボン。あいつは執念深いから、敵に回すと厄介だ──」
サキは彼らの声を、もうすっかり気に留めていないようだった。歩きながら、辺りを見渡す。幸い、奇抜過ぎる容姿の彼は、視界に入った瞬間に見つけることができた。
ヒソカはトランプの束を、パラパラパラ、と右手から左手、左手から右手へと移動させて遊んでいる。とても暇そうだ。ただ同時に、静かに殺気立っているようにも感じた。流石のヒソカも、本試験前となればピリつくものなのだろうか。
サキが彼へと二、三歩、歩を進めると、彼もこちらに気付き、トランプを止める。
「やぁ。遅かったね。もう来ないかと思ったよ」
「そんなヘマ、やらかさないわよ」
サキは、わざとらしい笑顔を浮かべるヒソカに近付きながら、にやりと笑い返した。
人混みを分ける彼女は、ヒソカの目の前まで行くと緩く両腕を組み、彼を見上げる。
「随分ヒマそうじゃない」
「お楽しみはこれからさ。君も居ることだしね。ところで、一緒に来ていた三人は誰だい?」
「ナビゲーターが、偶然同じだった子達よ」
「へぇ、偶然?」
「なに?妬いてんの?」
サキが首を傾げ、ヒソカを覗き込む。彼が、愉しげに目を細めたのが分かった。
「あぁ、そうさ。大事な人と久々に会えたかと思ったら、知らない男と過ごしてたって言うんだ。妬かない方が可笑しいだろう?」