どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第7章 一次試験、開始
「ぼさっとしてないで、食べるわよ!折角のご馳走なんだから」
恐らく照れ隠しなのだろう。
サキはツンと顔を背けるとおもむろに椅子を引き、三人を背にして一人どかりと腰かける。
『もう!そういうのいいから!アンタほんとマジで黙って!』
『あぁ、ごめんなさい。無意識に考えてしまうので……止めるのは多分、かなり難しいです、すみません……』
『分かってるわよ!分かってて言ってんの!』
最早何に対して切れているのか、サキ自身も分かっていないようだ。
……なんて思うと火に油なのは分かっているのだけれど、思わないって本当に難しい。
と、その時、目を瞑って貧乏揺すりを始める彼女の横と向かいに、三人がやってくる気配を感じた。
「全く、あんたにはペースを掴まれっぱなしだぜ」
真向かいの椅子を引きながら、片手をスーツのポケットに突っ込んでいるレオリオが言った。
「……言わんとすることは分かるが、それを言うなら“ペースを握られっぱなし”だな。掴まなければならないのはお前だ」
レオリオの隣に、あまり音を立てずクラピカが座る。
「どっちだっていいだろ!」と、少し照れながら反論したレオリオが、この後クラピカに論破されていたのは言うまでもない。
「待ってくれてありがとう!食べよっか!」
何の気なしに二人のやり取りを眺めていたサキの隣で、ゴンがナイフとフォークを両手に満面の笑みを浮かべていた。
「なっ、別にアンタ達を待ってたワケじゃ」
「いただきまーーーす!」
サキの声が、ゴンの声に掻き消される。
慌てるサキを見て後の二人はくすりと笑い、ゴンに続くように手を合わせた。
サキは“じゃ”の形で開いたままの口を仕方なく閉じると、
『誰がペース握ってるって言うのよ』
と、肉の塊にフォークをブスリと刺した。