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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第7章 一次試験、開始






「にしてもよ、あれは爽快だったぜ、サキ」

「……何の話?」

肉を口一杯に頬張り、レオリオが言う。
サキは焦げをこそぎ落とす手を止め、眉をひそめた。

「決まってるだろ?“次なんて無い。俺達は合格するからだ”ってヤツだよ!」

「あぁー」

サキが、そんなこと言ったっけ、と思い返す。

『てゆーか事実だしね。サチの話聞く限り、あたしだって落ちる気しないし』

『そうなんですか?』

『……喧嘩売ってる?』

『え!?いいえ、全く!!』

そう、喧嘩を売るつもりなんて無い。
けれどここ二週間、私は彼女のウォーミングアップくらいしか見ていないのだ。彼女が、常人よりはるかに凄いんだろうとは思うのだけれど、その実力という意味では、私は十分知れずにいた。
私にしても、夜はヒソカに稽古を付けてもらっていたけれど、私がどんなに必死になっても、彼はいつだって余裕そうだった。偶然、ヒソカの頬を私の拳がかすったこともあったけれど、まぁ、その程度だ。自分が強くなったのかどうかも、いまいちよく解っていない。
念だって、基礎と応用の練習はするものの、まだどんな能力にするか決めていない。
分かっていることと言えば、私達が彼と同じ“変化系”だと言うこと。

「──キリコの旦那ときたら、まるで俺達が今年は受からねぇみてぇに言いやがる。そこにストンと切り込んだんだ。ありゃあスカッとしたぜ」

レオリオがジェスチャーを交えつつコロコロと表情を変えて、調子良く話している。
私の、答えの無い考え込みに飽きたらしいサキは、そんな彼の表情の変化を楽しんでいるようだった。
そこに、「私もだ」と、彼の隣のクラピカが相槌を打つ。

「だがまぁ、彼があぁ言うのも分かるがな」

「何でだよ。自信が無ぇ訳じゃねぇだろ?」

自分の発言に対するレオリオの問い掛けに、クラピカは少し目を伏せ、そして再び彼を見やる。

「三年に一人。……初受験者(ルーキー)が合格する確率、だそうだ」
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