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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第7章 一次試験、開始



驚くレオリオに、眉根を寄せ小首を傾げるクラピカ。

「おいサチ、ヤクザ顔はねぇだろ、ヤクザ顔は!」

「ほらほら、それよそのカオ」

サキは詰め寄るレオリオを尚も指さし、負けじと一歩近寄ると、彼を覗き込むように見上げた。
彼女には、パーソナルスペースというものが無いのだろうか?
レオリオが、思わず背を反らす。

『コレは、いじりがいがありそうね』

胸の中でサキが笑った。
私は正直、見ていてハラハラしかしない。

「サチから話は聞いてるわ」

「……は?」

ぽかんと口を開けるレオリオ。顎を引きこちらを見つめるクラピカ。そして、再び駆け寄ってきてくれていたゴンを横目に、彼女はレオリオと少し距離を取り、片手を自分の胸に置いた。

「あたしはサキ。本当の意味で試験を受けるのは、あたしよ」

サキはゆったりとした口調で宣言する。

「おいおい待てよ、一向に話が見えねぇ。つまりなんだ?双子なのか?」

「違うわよ。アンタ昨日サチが言ったこと、覚えてないの?」

レオリオが眉を上げ下げする隣で、クラピカが「なるほど」と言った。

「“朝に会うのは自分ではないが、自分も一緒に行く”──つまり、サチと君とは、同じ肉体を持つ別人、と言う訳か」

「はあぁ!?いくらなんでもそりゃ」

「流石クラピカ!飲み込みが早いじゃない」

喚くレオリオを無視し、サキはクラピカに向け、楽しげに言った。レオリオが片側の肩を落とし、「マジかよ」と溢す。

「サチは……まぁ、お供ってトコね。今もあたしの中から、この会話を見聞きしてるわ」

軽い口調で言うサキ。

「……つーことは、二重人格、ってワケか」

ぼそり、とレオリオが呟いた。

「ザンネン。見た目上は近いけど、実態としては全然違うわ。この子、あたしに取り憑いてるだけだもの」

「取り憑……!?」

「サチって、幽霊なの?」

口調を変えないサキに、クラピカとレオリオが言葉を詰まらせる。そこに、ゴンの無垢な質問が飛んだ。
クラピカとレオリオの二人が、まさか、という表情を浮かべる。

「そうだけど?」

彼女の、羽よりも軽い返答の持つ威力は、二人の顔の青さから分かった。
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