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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第6章 新たな出会い


旦那さんが羽を広げバサバサと羽ばたくと、その巨体がふわりと浮かび上がる。ゴンは慣れた様子で、旦那さんの片足に腕を回した。

「サチも早くおいでよ!」

旦那さんの足の影から、ゴンがひょっこり顔を覗かせる。うん、かわいい。いやそんなことを考えている場合では無いのだがと思いつつガン見していると、巻き上がった砂埃が私の目にダイレクトアタックを決めた。

「っつぅ……!」

「どうしたの?大丈夫!?」

「おっと悪いね、後にしようか?」

ゴンと旦那さんが心配してくれたが、私は片手で瞼を覆い、もう一方の手で“大丈夫です”のジェスチャーをした。

「イエ、自業自得ですのでお構い無く……!」

痛い目を薄く開け、旦那さんの片足にがっしりとしがみつく。
空を飛ぶなんて、本当は少し怖い。でも、すごくワクワクしている。

「……間違っても手を離すんじゃないよ」

旦那さんの声がしたかと思うと、ぐんっと体が持ち上がる感覚がして、足の裏が地面から離れた。更に数度、ぐんっぐんっと、旦那さんが大きく羽ばたくのを感じる。

「おーい」

ゴンが地上にいる皆に呼び掛ける声がする。もう結構高くまで来ているのだろう。体に当たる風が強さを増してきていた。涙も出切った所で恐る恐る目を開けると、澄み渡った夜空が、月や星と共に私を包み込んでくれていた。足下でさざめく森の海に、私はほうっと息を吐く。

「綺麗だよね」

そう、ゴンが声掛けてくれて初めて、私は彼の方に振り向いた。自然と二人、微笑み合う。

「ええ、本当に」

そうして私達は、夜空と森の海との境界線に視線を移した。森の海の向こう側には、街の明かりなのだろう、キラキラと光の岸辺が見えた。
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