どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第6章 新たな出会い
パチパチパチとキリコさん一家がゴン達に拍手を送る。
三人は、よし、と握る拳をコツンと当て合い、互いの合格を祝った。
「君達を試験会場まで案内しよう。彼女と一緒にね」
旦那さんはそう言って私の背中を押す。
彼らの視線が、私に集まるのを感じた。私は反射的に背筋を伸ばし、両手を体の前で重ねる。
「……ええと、サチと申します。私もハンター試験受験者ですので、今後とも、どうぞよろしくお願い致します!」
私は、勢いよくお辞儀する。
心臓が、バクバクと鳴っている。
思ったよりも畏まった挨拶になってしまった気はしたが、噛まなかったので良しとしよう。
「サチさんだね!オレはゴン。よろしく!」
ゴンが、太陽みたいな笑顔でピンと伸ばした右手を差し出す。
小さな手だ。でも、力強さを感じる手だ。私はその手を、両手で包むように取った。
「もし良ければ、さん付けせず呼んでください」
あなた達と、仲良くなりたいんです。
そう、心の中で呟く。
「うん、分かった」
ゴンは真摯さを感じさせる笑顔で応えた。
私は、にやけるのを我慢できずへらりと笑った。
「私はクラピカだ。こちらこそ、よろしく頼む」
「改めて、レオリオだ。もう演技は無しだぜ?」
彼らと、目を合わせ一人ひとり握手を交わす。
嬉し過ぎて顔が火照ってきたので、私は両手で頬を冷ました。
「どうしよう、私、今が幸せの絶頂かもしれない」
そう思ったら、声に出ていた。ゴン達三人が、きょとんとするのを感じる。
──うわぁ、私また変なこと口走ったような気がする!とてつもなくする!!
私は堪らず顔を逸らした。冷ましているはずの頬から熱が引かない。と言うか、さっきよりも熱い!
「おいおい、オレ達は映画スターか?」
はは、と皆が笑った。
『似たようなものです!』
そんな言葉は声になど出来るはずもなく押し黙る。皆のあたたかな目は眩し過ぎて直視できない。
どう返答すべきか悩んでいる内に、肩にキリコさんの手が乗った。
「さぁ、行くよ。サチとゴンは私の足に掴まりなさい」
旦那さんの声につられて顔を上げると、彼は私の隣でにこやかに微笑んでいた。