どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第6章 新たな出会い
程なくして、クラピカとレオリオも私達に追い付いてきたらしい。
「夜空の旅も、気持ちの良いものだな」
奥さんに掴まるクラピカが、星空を眺めながら言った。
やはり彼はこの空によく馴染むなぁと、私は今日既に何度目になるか分からないが、思った。
「……クラピカは、夜空が似合いますね。特に、こんな澄んだ満月の日は」
彼の横顔を見ていると、最早言わずに居られなかった。
クラピカは一瞬面食らったような顔をしてこちらを見た後、すっと視線を外す。
「……あ、ありがとう。嬉しいが、少し照れる」
そう言って俯くクラピカは、年相応の、どこか少年っぽさの残る普通の十代の男の子に見えた。
──やはり、彼に人殺しなんてさせられない。
私は再び強く思った。
一時間ほど彼らと空の旅を楽しみ、街から程近い山中に降り立つ。そこで、奥さんと娘さん、息子さんとは別れた。私達は人に化けた旦那さんと一緒に、更に一時間ほど歩き、街の宿へと辿り着く。
「今日はここまでだ。各自、自由に旅の疲れを癒すと良い。明日、朝7時にロビー集合だ。そこから会場へ案内しよう」
何だか、そういうツアーみたい。
旦那さんの言葉に、私は思わずふふっと笑った。
手には、先程旦那さんから配られた部屋の鍵。
「言われなくともそうさせて貰うぜ。もう~、クタクタだ」
「そうだな。朝までゆっくり休むとしよう」
「じゃあ、また明日だね!」
レオリオ、クラピカ、ゴンがそれぞれそう話す。一時解散の雰囲気だ。本心を言えばもっと語り合いたい所だけど、彼らに無理をさせるわけにはいかない。
「皆さん、おやすみなさい。あ、そうだ」
私は不意に、彼らが明日会うだろうサキのことを思い出し、続けた。