どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第6章 新たな出会い
コンコン、とノック音。
「留守なのかな?」
「入るぜー」
少し間を空け、がちゃり、と扉が開く。
旦那さんが、キルキルキルキル、と愉しげに鳴いた。
は、と誰かが息を飲む声がする。
「魔獣!!!」
ザザ、と皆が戦闘態勢に入る音がした。旦那さんはダンッと強く床を蹴り、その風圧がふわっと私の所にまで届く。
ガシャン
続け様に聞こえる、窓のガラスの割れる音。
旦那さんが、娘さんを抱え外へ飛び出したのだろう。
後始末、きっと毎年大変なんだろうなぁ、などと私は目を瞑ったまま思った。
「助けなきゃ!」
「レオリオ、怪我人を頼む!!」
「任せとけ!!」
三人の、頼もしい声が響く。
原作通り、ゴンとクラピカは旦那さんを追い外へ、レオリオは怪我人の手当てに小屋に残ったようだ。
息子さんが、うう、と呻く。
「あの魔獣は……素早く力も強かった……。妻は……」
「大丈夫だ。あいつらなら必ず、あんたの嫁さんを無事に連れ帰ってくる。必ず」
掠れた、苦しそうな声を出す息子さんに、レオリオが力強く応える。その後、パタン、かちゃかちゃ、と音がして、薄ぼんやりと明かりを感じた。
「立ては……しないな。悪い、少し待っててくれ」
レオリオが息子さんに声を掛け、駆け足でこちらに向かう気配がする。
──いよいよ、私の番だ。
鼓動が速まってゆく。
「おい、ねーちゃん、大丈夫か」
私の隣に膝をつくレオリオに、肩を叩かれ呼び掛けられる。私はうっすらと目を開き、ゴホッと一つ咳をした。ごぼ、と血糊が泡のように垂れる。うわ、ちょっと含み過ぎてたかも。
更に瞼を持ち上げると、短髪で精悍な顔立ちの、もっと言えば私より年上にさえ見えるスーツ姿の青年が、細い懐中電灯を片手に真剣な表情でこちらを見ていた。
「あなたは……?」
緊張から、声が震える。
私は、ぐぐ、と肘で上半身を持ち上げてみた。するとレオリオは「無理すんな、楽な体勢でいい」と私の肩に触れる。
「俺は、レオリオ。ハンター試験の受験者だ。どこが痛む?」
「レオリオ、さん……?さっき、魔獣がきて……奥さん、奥さんはどこですか!?」
「今、仲間が奴を追ってる。心配ない、きっと無事だ。なにより、怪我人は安静にしてねぇと」
私が予め決めていた台詞を口にすると、レオリオはそう言って私を宥めた。