どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第5章 素性
「……あんたはナビゲーターがどこにいるか、知ってるってワケね」
「正解」
ヒソカは、目を線にしてにこりと微笑む。
そうか、彼は前回試験を受けたから、ナビゲーターに伝(つて)があるんだ。
『なるほどね。となると、口からでまかせってワケでもないっぽい、と。……確かに、悪い話じゃない』
「君さえ良ければ、基本的な念の指導も続けよう。知識があるとはいえ、サチも素人だろう?」
ヒソカが、もう一押しとばかりに提案する。
訝しむサキは長椅子から体を起こし、間近に顔を突き合わせた。ちなみに、『ちょっと近過ぎじゃ……』という私の訴えは完全に無視された。
「……話が上手過ぎて気持ち悪いわね。アンタの企みは何?」
「人聞きが悪いなぁ。そうだね、ボクのメリットは、君と一秒でも長く一緒に居られる事かな」
『うわぁぁ……』
「どん引き」
サキは無意識に上体を反らせ、私は恥ずかし過ぎてキョロキョロと視点の置き場を探す。
「それ、他人に見せる顔じゃないと思うんだけど」
微笑むヒソカの語尾に、スペードのマークが見えた気がする。
っていうか私達、どんな表情をしていたんだろう。
「そんな歯の浮くようなセリフ、よく吐けるわね。冗談でも止めて欲しいわ」
ヒソカの発言を多少気にしたらしいサキが、つんと顔を背ける。ヒソカは彼女の横顔を、眺めるように見つめた。
「冗談じゃないよ。君は手元に置いた方が面白そうだって、昨夜サチにも伝えた通りさ」
彼はどこか楽しげに言う。
「ところで、サチはどう考えているんだい?」
『──え、私!?』
まさか話を振られると思っていなかったので、私は少し狼狽えた。
「あー、あたしも興味あるわ」
『さっきの映像、何?』