どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第5章 素性
……それは、どういう意味?
私は、心の中で呼吸を止める。
「そう睨まないでおくれよ。単なる世間話じゃないか」
「御生憎様。そう何人にも居座られてちゃ、堪んないのよ」
ヒソカは足を組み片手を開いて見せ、サキは困惑する私を見かねたように言った。
彼女は背もたれに身体を預け、両肘に触れるだけの緩い腕組みをする。
「あたしじゃないのは、サチだけ」
「へぇ?じゃあ君は、ハンター試験を受けたいってワケじゃないのかい?」
ヒソカは組んだ足に頬杖をついてサキを覗き込むと、興味深げに尋ねた。
「いいえ、受けるつもりよ。サチとは別の理由でね。それが?」
「君が試験を受けるつもりなら、まだボクが必要なんじゃないかな?と思って」
「なんで?サチは知らなかったようだけど、アタシ別に身体能力に不安なんて無いんだけど」
「十分承知の上さ。ボクが言っているのはそこじゃない」
眉をひそめるサキに、ヒソカは余裕のある面持ちで言う。ただ、その目は私達の視線を捕らえて離さない。
「ナビゲーター、って聞いたことあるかい?」
“ナビゲーター”。その単語に、ぱっとキリコさん達が思い浮かんだ。
『魔獣?の、キャラクター?』
サキは一瞬、私の思い出す映像に意識を寄せる。しかし、直ぐにヒソカとの会話へと思考をシフトさせたようだった。
「ええ、あるわ。昔、少し調べたから。試験会場に辿り着くには、ナビゲーターって呼ばれるヤツらの協力が必要不可欠なんでしょ?ただ、そいつらに会うまでにも、いくつもの関門があるって話だけど」
「その通り。ほとんどの人間は、ナビゲーターがどこに居るかさえ知ること無く、ふるい落とされる」