どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第4章 異心同体
でも、どうやって?
思わず重ねるのは、ハンター試験第4次試験時の彼。
堪え切れず獲物を狩る、そんなイメージ。
私は、折れそうになる心をなんとか支える。
一方で彼女は、既に行動を起こしていた。
ジリリリリリ!
非常ベルの音が一帯に響き渡る。
タンッ
彼女は階段の踊り場からジャンプし、空中で体を捻ると次の踊り場へ着地した。そして直ぐさま一、二歩助走を付けると、同様に床を蹴る。
そのうち、どよどよと声が聞こえてきた。
どうやら彼女は、人混みに紛れるつもりらしい。
『ムカつくけど、多分、アイツの方があたしより速い。ベルがイタズラだって気付かれる前に、適当な階で適当な部屋にでも潜り込めば、一先ず時間稼ぎになる』
『……時間稼ぎ?』
彼女の考えは概ね正しい気がしたが、不意に、何か引っ掛かるものを感じた。
重要な何かに、気付いていないような。
彼女は、手に汗を握る。禍々しいオーラの中で。
『はっ、そうか念(オーラ)!円!!』
私はなんて馬鹿なんだろう!
駄目だ、このままじゃ、どこに隠れたって同じだ!!
『はぁ!?なに!?エン!?どこに隠れたって同じってどういう事よ!!』
『ああすみません!円は、念の応用技です!範囲内の人の動きや物の位置を知ることができる、そんな技!!その人の得意不得意によって円の範囲は変わってくるんですが、確か達人の円が半径50m?くらいのはず。このビル1階分の高さが3mと仮定すると……17階分弱。彼の円がどの程度の範囲をカバーするかは不明ですが、少なくとも、彼と18階は離れておいた方がいいです!!』
言いながら、リアリティーに欠ける数値だと思った。
『18階』
彼女がごくりと生唾を飲み込む。
今、彼がまだ部屋にいる確証はない。