どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第4章 異心同体
『居場所が捕捉されてるとしたら、今の策は無意味。階段で逃げ切れる可能性もカナリ低い、ってか無謀!』
彼女は階段を下りるスピードを緩めない。
けれど戸惑いからか、身体に、先ほどには無い力みを感じた。
『こんな高層ビルのエレベーターなら結構なスピードが出るはずだけど、今動いてるエレベーターは火災対策から、恐らくノンストップでエントランスだとかの避難階へ向かってるはず。動いてないエレベーターの有無はもちろん、どこの階で停まってるかなんて判るわけないし八方塞がりだわ!!』
エレベーター。
私はふと、ここへ来た時にエレベーターを乗り継いだことを思い出した。
ボタンに“200”の文字までしかない、割合シンプルな内装のものから、赤地に金色の装飾があるものへ。
『ひょっとしたら、あそこなら、一台くらい停まってるエレベーターがあるかも……』
『オーケー、その賭け乗った!!』
彼女の声に、私は少し驚いた。
けれどその驚きについて分析する前に、視界に飛び込んでくる“201F/200F”の文字。
着く!
奥まった廊下を少し駆けると、エレベーターの並ぶ廊下に出る。人影は少なく、焦る様子もない。
祈るような気持ちで、私達はボタンを押す。エレベーターが動くかどうかは、運とココ(天空闘技場)の仕様次第だ。
もし、この階にエレベーターが停まっていなければ、いや、停まっていたとしても動かなかったら。
それどころか、今、彼が現れたら──。
心音と呼吸音に視界が揺れる。
ポーン
エレベーター上部のランプが点灯して、軽い音がした。
『来た。来た!!』
開く扉に、私達は飛び込んだ。
『早く、早く閉まって!』
普段なら気にならない扉の開閉スピードに、苛立ちさえ覚える。
あと、一センチ。