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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第2章 彼らの世界へ


彼は微笑む。けれどその目は、私の心臓を掴んで離さない。動悸で視界が揺れるようにさえ感じる。
浮かれていた。こんなにも突っ込まれるなんて思ってもみなかった。いっそ何もかも話した方が楽だろうか?いや、そうすると確実にストーリーに影響を及ぼす。クロロとの対決も、ずっと早まるだろう。勝敗だって、分からない。それとも、ここで未来を知っていると言っても、その詳細を語りさえしなければ良いだろうか?いや、ダメだ。その気になれば口を割らせる方法なんて、いくらでもある。例えば、パクノダの能力のように。何より、クラピカやゴン達の生死にも関わる問題だ。……言えない。少なくとも、今の段階では、言っちゃいけない。

「ごめんなさい。あなたが私を不審に思うのは分かります。でも“どうしても会いたい人達がいる”という事以上、私は答えられません」

また、頭を下げる。私には、これしか言えない。これが最善。
けれど話さないという選択はつまり、弟子入りを辞退したようなものだ。終わった。完璧に終わった。いいや落ち込むな!仲間達(予定)のリスクを回避したんだ!偉いぞ私!!
なんて、脳内で色んな私が感情ごとに口々に物を言い合っている。

「ハイ!この話はこれでおしまいですね。にしてもお料理、とっても美味しいですね!私、こんな美味しいお料理初めてです!」

無理にはしゃぐ。料理が楽しみなのは間違っていない。シャンパンだって、オードブルだって、感動するほど美味しかったし、それに、それに。……あーなんか分かんないけど泣きそう。

「君は、ハンター試験を受けたいだけなのかい?それとも、合格したいのかい?」

彼はグラスを片手に、余裕のある笑みを浮かべる。
私はハッとした。
ハンター試験を受けたいだけ?会いたいだけ?いや、私はゴン達と出会って、そして、ゴン達の助けになりたい。その為には、同じ土俵に立てるくらい強くならなきゃいけないって事で、それはつまり。

「合格、したいです。きっと、そこがスタート地点なので」

……うん、やる。私はやる。たとえ、一人ででも!誰に高望みだと思われても!!
俄然、やる気が出てくる。私って結構単純だな。

「分かった。じゃあ帰ったらすぐにでも、特訓開始としようか」
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