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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第2章 彼らの世界へ


何から話そう。何を話そう。HUNTER×HUNTERという漫画で私はあなたを知っていて、これからのストーリーも分かるだなんて、言わない方が賢明だよね。どう考えても。

「私、来年のハンター試験を受けたいんです」

自分でも、舞い上がっているのが分かる。このままじゃ言わなくていい事まで口走りかねない。ましてや相手はあの鋭いヒソカだ。落ち着け、落ち着け、と話しながら念じる。

「どうしても、会いたい人達がいるんです。来年じゃなきゃ、ダメなんです。でも私、自慢じゃないですが、武術の心得どころか筋力も体力も全くありません。こんな状態で試験を受けたところで、会いたい人達に会えないまま死ぬかもしれない。それは嫌なんです。だから、私は少しでも強くなりたい。そのために、あなたの力をお借りする事は出来ないでしょうか……!」

言えた……!一先ずのハードルを越えた気がして安心するが、気は抜けない。ヒソカの返事はまだだからだ。
彼は一口シャンパンを口にする。

「どうしても会いたい人達、か。羨ましいね。来年じゃなきゃならない理由は、試験官あるいは受験者がその〝会いたい人達〟だから、かな?」

どきりとする。図星だ。その上本来はあなたもその一人ですなんて、言えない。

「試験官は、年毎にプロハンターの中から選ばれる。中には期日まで世界中を飛び回っている者もいるだろう。試験を通して会いたいと思っても不思議じゃない」

彼は、ゆったりとした口調で話す。返ってそれに圧力を感じた。彼は何かを聞こうとしている。いや、探っている?

「でも、そうするとおかしな点が一つある。僕達受験者には試験会場についてさえ詳細な情報を与えられない。なのに、なぜ君が試験官が誰かという踏み込んだ情報を知っているのか」

ドクンと心臓が音を立てる。その問いについて、私は話せるような答えを持っていない。

「もし試験官ではなく受験者なら、ルーキーかな?今回しか受けないような。だとしたら人物像としては①合格する者。②再起不能となる者。③資格の取得を目的としていない者。の三パターン。しかも“来年じゃなきゃダメ”という程に君は確信を持っている。例えば“来年受かるかもしれない”じゃなく“来年受かるはずだ”とね。論理的に考えると、個人の性格や意思のみで判断できる③の可能性が高い。……君が予知でもできれば、話は別だけど。どうだい?」
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