どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第2章 彼らの世界へ
分かっている。どう考えても無謀だ。試験会場に辿り着けたとして一次試験での脱落は目に見えているし、最悪辿り着くまでに死ぬだろう。
「いただきます」
手を合わせて、見た目にも美しいオードブルを口に運ぶ。当然のように美味しい。一噛みごとに自分の中の結論に近付いて行く気さえする。
うん。最悪死ぬだろうが、最悪でも死ぬだけだ。ただ、やっぱりゴン達に会わずには死ねない。その為には少しでも体力や筋力を付けなければならないし、それ以上に身のかわし方や運び方も重要になるだろう。体力や筋力は自力でもなんとかなるかもしれないが、技術的な側面についてはどう手を付ければいいのかてんで分からない。せめて師事するような人がいれば……。
「あ」
「ん?」
ヒソカと目が合う。そうだ、いるじゃないか。自称最強が、今ここに。どくどくと、鼓動が早まるのが分かる。こんな偶然、きっともう二度とない。
「ヒソカ、あの、もし良ければ、私の」
言葉が口をついて出る。もう年明け間近。一分一秒が惜しい。お願いするなら、今しかない。
「私の師匠になってください!!」
頭を下げる。ダメで元々。当たって砕けるのも経験だ!と自分を鼓舞しているのか断られた時の衝撃吸収材代わりなのか、そんな言葉達が脳内を巡る。
「うーん、残念」
と、頭を上げる前に、彼の声が降りてきた。
そっか。残念、残念か。
「そう、ですよね」
分かってはいたけれど、少し落ち込む。やっぱりショックだ。でも、嘆いたって仕方ない。取り敢えず期日まで筋トレや走り込みだろうか。現実、持久力だって大問題なんだし。
「告白されるかと思ったのに」
「は」
「冗談だよ」
ちょっと何言ってるのか分からない。え?私そんな話してましたっけ?いやいや、ヒソカには師匠になってもらえないだろうかと頭を下げていて──。
「先ずワケを聞こう。話はそれからだ」
ヒソカはにこりと目を細める。断られたわけじゃなかったんだ……!
「はい……!」