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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第8章 君の理由


『なんか、ゴンには見透かされてる気がするのよねぇ』

と、少年二人の会話を聞きながらサキが思った。
私も、後ろの二人に意識を向ける。

『……きっと、それが彼の魅力の一つなんでしょうね』

私は、漫画の一巻、ハンター試験会場までの道のりを思い返していた。
“でも、助けてくれたじゃん”、“……いつか、来るかもしれないんだ”──彼の勇姿を直接見ることが出来なかったことが、今になって悔やまれる。

『まぁでもそれは置いといて』

『へ?』

サキはそう言うと速度を落とし、キルアの隣に移動した。

「ねぇキルア。ココにいる、とっても清純なお姉さんの聞き違いだったら別に良いんだけど……誰が何だって?」

サキが、笑顔でポキポキと指の間接を鳴らしはじめる。そんな彼女に、キルアがニヤリと笑った。

「まさかここで戦(や)るつもり?オレ、結構強いよ。ビッチねーさん」

「こんのクソガキ……!」

「まーまーまー」

両手をズボンのポケットに入れ余裕綽々のキルアと、自身の顔の横で拳を握るサキ。その間にゴンが割って入り、困ったような笑顔で二人を宥める。

「なんで止めんだよゴン」

「だって、今のはキルアが悪いでしょ」

ゴンはそう言って、サキを見返る。

「サキだって、喧嘩したい訳じゃないもんね?」

ゴンが真っ直ぐにサキの目を見た。
彼の目は、悪意なんて知らないのだろう。

『……毒気抜かれるわ』

サキは握っていた拳を下ろし、はぁ、とため息を吐いてから、再びキルアに目をやった。

「あたしはサキ。今度その呼び方したら、ただじゃ置かないわよ?」

「へー、ただじゃ置かな、んん゛?」

完全に挑発しているだけのキルアの口を、ゴンが後ろから両手で覆う。不満げな目でゴンを振り返るキルアに、ゴンは眉を吊り上げて微笑み、「キルア?」と窘めるように彼の名前を呼んだ。

私はそれが微笑ましくて、サキの中でくすりと笑った。
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