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【MHA】vs.

第1章 爆破少年


 風を自在に操る父、水を自在に操る母の複合的個性として目覚めた私の個性は生き物がこの地球上に存在する限り必要不可欠であるものを自在に操る個性であった。増強系とはまた別の意味で最強であるその個性のおかげで、挫折知らずで十七年間生きてきた。その個性のおかげで、名高いヒーローを毎年輩出する雄英高校に推薦入学。元々勉強も好きであった為、一年、二年と学科、実技共に首席。高校に入った頃は、打倒筒井なんて言って同級生の目標にされていたが、それが二年経った今となっては、アイツには絶対勝てないと言われる始末。そして春になり私は三年生になった。

 チートと言われる個性を持った私にも苦手なものはあった。────朝だ。超低血圧である私は滅法朝に弱い。それは登校し、HRが終わるまで続く。だから朝は静かに過ごしたいのだ。なのに、前方で喧嘩…というか、片方が一方的に怒ってるだけ。そんな彼の存在が疎ましくて堪らなかった。見慣れない子だから恐らく新入生なのだろうが、どうして朝からそんなにも怒鳴り声をあげられるのか。中学卒業したばかりで元気が有り余ってるのも分かる。そして、彼の個性なのだろうか、手が爆発してる。その爆音もまたけたたましく、私の朝は静かに過ごしたいという囁かな願いを打ち消す。その個性に朝ということもあってか、私の神経を逆なでするには充分であった。彼の目の前に立つ少年は酷く怯えているし、これは喧嘩というかイジメと言った方が正しいのではないか。彼が何科の生徒かは知らないが…まあ、あんな派手な個性、ヒーロー科なんだろうけど、名高いヒーローを輩出する雄英高校の生徒として恥ずかしくないのか。


「俺の前を歩くな目障りだデク!!!!」


 爆破を繰り返すその手を、目の前の怯える少年に振りかざす彼の手を握った。それによって先程まで五月蝿く響いていた爆発音がやんだ。


「…ねえ、五月蝿いんだけど。」
「んだと!」


 個性を出そうとしているように見えたが、爆破は起きず。それに目の前の少年は驚いた様子だった。


「テメェ!何しやがった!!」
「ほら、君は早く校舎に入って。」
「無視すんなゴラァ!!」


 え、でも、と言ってその場を動こうとしない彼にイライラしていると、爆破少年に肩を掴まれた。


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