第2章 管理人の1日
「(よし、モップ掃除するか)」
私は用具入れからモップを取り出し、エントランスの床に滑らせる。
「……」
毎日の仕事でもあるモップ掃除。
普通に掃除をしていたらどうしてもマンネリ化してしまったので、ここ最近私はモップ掃除のやり方を変えた。
どんなやり方かと言うと、モップの棒をお腹で支え手ぶらの状態で掃除をすることだ。
しかし、この掃除方法はどうしても途中どこかでモップがひっかかって「ぐえっ」っとなるのが難点なので、週一で我慢している。
「(お、今回は調子がいいぞ。このまま最後までこれで…)」
すると、エントランスの扉が開く音がした。
「こはね…また馬鹿なことやってるし…」
そこには、 日課のランニングから帰ってきたわたしの一個下の神無月郁の姿があった。
タオルで顔をぬぐいながら冷めた目で私を見つめている。
「おいっす郁。今日もトレーニングお疲れさま」
そんな郁の冷ややかな視線なんかには負けない私は軽やかに挨拶をしていると…
ずっと調子の良かったはずのモップの棒が床のタイルに引っかかり、容赦なく私の腹にめりこむ。
「ぐえっっっ!!」
「……いや、そりゃ刺さるでしょ!!!いつになったらこはねの脳内は小学生じゃなくなるんだ?!!」
「ゴフッ……郁……時には結果が分かっていても戦わないといけない時があるんだよ。郁もあと1年たてば分かるようになるかもね」
「いやモップ掃除だけで何でそんな戦いとか壮大な話になるんだよ!!」
ランニングしてきたとは思えないキレッキレの郁の突っ込みに、私は心底感心する。
「さすが郁。驚くほど気持ちいいツッコミだわ。そりゃ出会った頃から身長も10cm伸びるよね~」
「ぜんっっぜん身長関係ない!!でもありがとう!!」
「突っ込みながらもきちんとお礼を言うあたり、郁はいい子だねえ」
「そんなこと口に出さなくていいから!!」
そんなこんなで郁とわちゃわちゃしてると、またもや扉の開く音。
現れたのは……
「おーおー、2人でなにやってんだ?」
「「海さん!」」