第7章 管理人はたまに定時で上がれない
そうして連れてこられた…って言っても運転したのは私だけど。
今の場所は、どうやらテレビ撮影の収録とかに使うスタジオっぽい。
「始さん、そろそろどういう事か説明してください」
私は運転席から後部座席に座る始さんに顔を向けて問いかける。
すると、今まで沈黙を守っていた始さんが口を開いた。
「………今日CM撮影があるんだが、一緒に撮影するはずだったモデルがインフルエンザにかかったらしくてな。もし代わりになりそうな人がいれば…って話で」
「………えっと…つまり?」
「ちょうど目の前にこはねがいたもんだから…………すまない」
「いやいやいや無理です無理です私一般人ですよ!??モデルの後釜なんてしたくないっす!!」
「…一応その来れないモデルの事務所からも何人か代わりを呼んでるらしいから、ディレクターがそっちを選べばこはねは出なくて済む」
「えっ…それマジですか?」
「ああ。ただ俺も連れていくと言った以上、ディレクターには会って欲しい。こはね、すまないが頼む」
まじかよ…
でも、絶対ってわけじゃないのか…
恋とか新とかの頼みなら完全にスルーしちゃう所だけど、始さんの頼みだしな…
「……わかりました。じゃあ、行くだけ行きますわ」
私のその言葉を聞いた始さんは、少しホッとしたような顔つきになる。
「こはね、本当にありがとう。強引に連れてきてすまなかった」
そりゃあ確かに強引極まりなかったけど、連れて行くって言った手前私が行かなかったら始さんの顔に泥を塗る事になるもんな。
私のお仕事はグラビとプロセラが居てこそだし…いっちょ腹括るとするか。
どうせ私なんか決まんないだろうしね。会うだけなら余裕余裕。