第7章 管理人はたまに定時で上がれない
「始くんいい子連れてきたね!!どこの事務所の子?」
「彼女は、うちの事務所の社員です」
「そうなんだ!来れない子の事務所の子達も見てきたけど、この子が一番いいね!キレイすぎず可愛すぎず何とも言えないちょうど良さ!この子でCM撮ろう!」
「!…ありがとうございます。桐島共々本日は宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しく!じゃあ桐島さん、これ今回のCMの絵コンテだからあっちでメイクしてもらいながら確認しておいて下さい!」
そう言ってディレクターが私の手に絵コンテを置いて去っていった。
え、おい。
…まじかよ。
まさかの展開だよ。
しかも私に決めた理由微妙すぎだろ。
なんだよ何とも言えないちょうど良さって。
「こはね…今度、なんか奢る」
…始さん。
絶対に最高級熟成肉のステーキ1枚とかじゃ済まさないですからね…
そんなこんなで何かもう色々どうでも良くなってしまった私は大人しくメイクさんに軽く化粧を施してもらっていた。
「桐島さんは、CM出演初めてなんですか??」
「そうですね~。正直ちゃんと出来る気がしないです」
「そうなんですね!今回のCMはセリフが無いみたいなんで、きっと大丈夫ですよ!大変だと思いますが、頑張って下さいね」
なんだこのメイクさん天使か。
天使なメイクさんのお陰でこの投げやりな気持ちが少し和らいだ気がする。
「ありがとうございます。やれるだけやってみますね」
メイクさんにお礼を述べてから、ふとディレクターの言っていた事を思い出した。
そう言えば、あのディレクター絵コンテ確認しろって言ってたよな…
私は手元にある絵コンテに目を通す。