第6章 こたつで最弱王決定戦
「ねぇ~えぇ~、早くババ抜きしよぉよぉ~」
イケナイイケナイ…
ついつい…
「ごめん、お待たせ。さ、始めよっか? どうする? じゃんけんする?」
じゃ~んけ~ん…
「あっ、オイラの勝ちだぁ♪」
結果は俺の負け。
俺は手札を扇型に広げて大ちゃんに向かって差し出した。
現時点での俺の手札は12枚。
ここから大ちゃんが一枚引いたら…
「う~ん、どれにしよおかなぁ?」
大ちゃんの指が俺のカードを一枚一枚、確かめるように摘まんでは離し、摘まんでは離しを繰り返す。
「よし、これだ!」
漸く一枚を決めて、俺の手からカードを引き抜く。
「あ~ん、揃わないかぁ…」
ガックリと肩を落とす大ちゃん。
「次は俺の番だね?」
大ちゃんが俺の前にカードを出す。
この中に”ババ”が…
俺は慎重にカードを選び、一枚を引き抜いた。
「よっしゃ、揃った!」
「えぇ~、ずるぅいぃ~」
大ちゃんが唇を尖らせる。
仕方ない、これが”運”ってやつだよ(笑)
「はい、次は大ちゃんの番だよ?」
「今度こそ…」
大ちゃんがまたカードと睨めっこを始めた。
でもさ、大ちゃん?
俺、”ババ”持ってないよ?
分かってるでしょ?
だって”ババ”は大ちゃんのカードの中にあるんだもん。