第3章 こたつでミッチョン進行中
「そうか。そうだなぁ…。翔はそのサトくんのことが好きなんだよね?」
お父さんが僕を抱っこして、膝の上に乗せてくれた。
「うん。僕、サトくんのことが大好きなの」
大きくなったら、サトくんをお嫁さんにしたいと思ってるぐらい、大好き。
「翔は上手に描こうと思ってるのかい?」
だって下手くそな絵貰ったって、サトくん喜んでくれないだろうし…
「お父さんは、上手に描く必要はないと思うけどな?」
「えっ…? どうして?」
「気持ちが大事なんじゃないかな?」
僕はお父さんの言ってる意味が分からない。
”気持ち”って何?
「下手でもいいんだよ? 翔がサトくんを好きな気持ちが籠っていれば、サトくんは喜んでくれると、お父さんは思うけどな」
僕がサトくんを好きな気持ち?
「わかったよ。サトくんのこといっぱい考える!」
お父さんが机の上に画用紙を戻すと、僕は鉛筆を持った。
僕はサトくんが好き。
だ~い好き…
「できた~!」
サトくんを思いながら描いた絵は、やっぱりさっきと変わらずに下手くそだったけど、お父さんは上手に描けたね、って褒めてくれた。
「翔は本当にサトくんのことが好きなんだね?」
「うん! 大好き!」
僕が一生懸命描いた絵、サトくん喜んでくれるといいな…