第3章 こたつでミッチョン進行中
カズが何を言いたいのかはすぐに分かった。
でもここは一つパパらしいところを見せなければ…
俺は荷物をダイニングテーブルの上に乗せ、両手を腰に鼻をフンッと鳴らした。
「あのね、カズ? 先に言うことあるんじゃない?」
キョトンとした瞳を俺に向けたまま、小首を傾げるカズ。
「分かんない?」
カズがコクリと頷く。
「あのね、まず靴。ちゃんと揃えなさいって、いつも言ってるよね?」
「…はい。ごめんなさい…」
よしよし、素直でよろしい。
「それにね、いきなりドア開けたら危ないでしょ? パパもうちょっとで転ぶとこだったんだよ? パパがお怪我してもいいの?」
「…だめ、だと思う…」
”思う”って何よ、もう…
「でもパパ開けてって言ってたでしょ? だからカズ開けたんだよ?」
そっか…
そうだったのか…
…って、そうじゃなくて!
「お返事なかったよね? ちゃんとお返事してくれなきゃ…ね? 分かった?」
俺はカズの目の高さまで腰を曲げた。
「お返事は?」
「…はい」
「良く出来ました」
カズの頭を手でガシガシと撫でてやると、カズが少しだけ擽ったそうに肩を竦めた。
「お話終わった?」
「終わったけど?」
「あのね、パパ? 卵、割れてるよ?」
なんですとぉっ?
タイムセールで群がる奥様方に競り勝って、漸くゲットした卵は、袋の中で見事に割れていた。