第25章 こたつ片付けなきゃね
最後の証書を渡すと、園長先生がマイクに向かって”コホン”と一つ咳払いをした。
「皆さん、今日は卒園おめでとう。
今日の皆は、と~っても輝いてるように、園長先生には見えます。
園長先生、とっても嬉しいです。
皆さんは四月から小学生になります。
楽しいかな?
お友達たくさんできるかな?
お勉強は大変かな?
たくさん不安もあると思います。
でも、きっと皆なら大丈夫。
そのキラキラの笑顔と、保育園での楽しい思い出を忘れずに、小学校に行っても頑張ってくださいね」
園長先生の言葉が終わり、子供たちが一斉に立ち上がった。
そして隣のお友達と手を繋いだ。
ピアノ伴奏が始まり、子だも達の小さな身体が左右に揺れ始めた。
始まったのは定番ソング「ね」。
曲に合わせて身体を揺らしながら、大きな声で歌う。
途中何度も隣のお友達と笑い合う姿に、胸がジンと熱くなる。
ね おじいちゃんになっても
ねおばあちゃんになっても
ずっとずっと…
本当にそうなって欲しいと、心の底から俺は願う。
繋いだ友達の手を離さないで、いつまでもずっと…
でも、俺の手はいつか離れて行くんだよな…
それがやけに寂しくて、俺はとうとう堪えていた物を抑えることが出来なかった。