第22章 こたつでひなまちゅり♡
「お前ん家、相変わらず雛祭りしてんの?」
街灯がポツンポツンとあるだけの道を並んで歩きながら、隣で潤が言う。
「う〜ん、なんだろうね? ある意味“恒例行事”だよね」
保育園の頃から、ずっと続いている、我が家の“雛祭り”。
“女の子の祭り”だ、って俺が理解するようになってからも、それはずっと続けられていて…
でも、ちゃんとしたお雛様なんて、ウチにはないから、俺が子供の頃に作ったお雛様を、ガラスのケースに入れて飾っている。
「まあさ、いいんじゃね? お陰で俺もパパさんの料理、ご馳走になれんだからさ」
「そっちかよ…」
少しだけ膨れた顔で見上げてやる。
すると、潤の手が俺の手をキュッと握った。
「ば〜か、膨れてんじゃねぇよ。んな顔してると、キスするぞ? いいのか?」
いいも何も…
もう顎掴んでんじゃないかよ…
子供の頃から変わらず濃ゆい顔が、ゆっくり降りてきて…
チュッと軽く触れる唇。
そして握ったままの手を、コートのポケットに入れて、潤が歩き出す。
「あ〜、続きして〜! でも今夜は無理だよな? 流石にパパさんの前では、出来ねぇしな?」
「あ、当たり前だろ? そんなの…したら…」
パパひっくり返っちゃうよ(^_^;)
「だよな? ま、今夜はお前の十二単脱がすの我慢するしかないか…」
お願いします、そうして下さい…
ピンポ〜ン
『ただいま〜!』
「おかえり〜」
さ、男三人の、ちょっとむさ苦しい雛祭りの始まりだ(笑)
おわり♡