第15章 こたつで映画鑑賞
地下駐車場に車を停める。
一応、手ぶらじゃ何だからと、途中で立ち寄ったコンビニで買ったビールとボストンバックを手に、上階まで直通で上がれるエレベーターに乗り込んだ。
目的の階に着くまでの間、ポケットに捻じ込んだスマホを確認する。
やっぱり”既読”は付いてないか…ε-(´-`*)
溜息を一つ零したと同時に、チンと何とも申し訳なさそうな音を立ててエレベーターの扉が開いた。
雅紀の部屋はこのフロアの一番奥。
肩からずり落ちたボストンバックを何度もかけ直しながら、俺は重い足取りで雅紀の部屋まで廊下を歩いた。
ピンポ~ン
『は~い♥』
「俺…」
『開いてるよ~♥』
ドアノブに手をかけると、雅紀の言う通り、鍵は掛かっていなくて、俺はドアを開けて部屋に入った。
っつかさぁ、さっきから気になってたんだけど、”♥”いらなくね?
「しょおちゅわ~ん♥ 待ってたよ~♥」
だから、”♥”はいらないんだってば(^_^;)
「お前さぁ、どうせ誘うんだったら一緒ん時に言えばよくね? 家帰ったら、出たくなくなんだろ?」
「ごめ~ん。だってさ、皆さっさと帰り支度始めちゃったから、声かけ辛くってさ…」
はぁ…ε-(´-`*)
変なとこ遠慮すんだよな、コイツって…(^_^;)
「それよりさ、コレ冷蔵庫入れといて?」
俺は缶ビールの入った袋を雅紀に手渡した。