第14章 こたつで思い出話
「オイラ、トイレいって来る…」
今にも泣き出しそうな顔に、無理矢理作り笑顔を浮かべた。
「外国人じゃなかったけど、超可愛いかったな…」
そっか…
そうだよね、翔君が好きになった子なら、きっと…
「今も変わらず可愛いんだけどね?」
もういいよ…、それ以上聞きたくない。
オイラは席を立つと、翔君に背を向けた。
だって、泣き顔見られたくない…
「なんつーの? 普段はさ、ボーっとしてんのにさ、変なとこ頑固でさ…」
もう聞きたくないってば、そんな話…
「ほんと、早とちりばっかしてさ…。今だって、人の話最後まで聞かないしさ…。あ~あ、なんでこんな人に惚れたんだろうね、俺は…」
ほんとそうだよね?
どうしてそんな、どうしようもない人に…
って…
「えっ、それって…」
「ちゃんと人の話聞きなさいよ。まったく…」
驚いて振り向いた先に、翔君の膨れっ面があった。
「で、でも”超可愛い”ってさっき…」
「アナタ以上に可愛い生物が、この世にいる? いないでしょ?」
「翔君…」
堪えていた涙が頬を伝った。
「俺はずっとアンタに惚れてんのよ? 分かってる?」
「うん…知ってる…」
だってオイラも同じだから…
あの日オイラ達が立てた”二十歳の抱負”は、ちょっとだけ違うけど、ちゃんと叶えられた…のかな?
おわり♥