第7章 こたつでデリバリー
潤side
「おっかしいなぁ、確かにこの辺りなんだけど…」
店長から渡された地図を片手に、団地内を彷徨い歩く。
が…
どいつもこいつも、同じような建物ばっかで、どれがどれだか…
「分かんねぇよ…」
早く届けないと料理が冷めちまうよ。
どうすっかなぁ、一旦店に戻って場所確認してくるか…
そう思って天を仰いだ瞬間、俺の目に飛び込んできたのは、”2”の数字。
「ぬわぁ~んだ、そっかぁ♪」
俺は”岡持ち”片手に走り出した。
2棟の304号室…
そこが俺の目指す場所だ。
3階までの階段を駆け上がり、通路を猛ダッシュで駆け抜ける。
「あったぁ! ここだ…」
散々迷って迷って漸く見つけた、”二宮”の表札。
店長から渡されたメモをポケットに捻じ込み、俺は乱れに乱れた身なりを整えた。
よし!
と、ちょっと待てよ?
俺は”岡持ち”を一旦降ろすと、ポケットから手鏡を出した。
「やっぱりだ…」
思った通り、俺の髪は嵐でも起きたかのように乱れていた。
「第一印象は大事だからな」
俺は両手で髪を撫で付けると、再び手鏡の中の自分と睨めっこを始めた。
「これでよし、と…」
身なりも整ったところで、俺は漸くブザーに手を伸ばした。