第1章 criminal<クリミナル> -罪人ー
「いらっしゃい」
明るい日差しと共に、さっきとは違うこれまたよく響く
高い声が少年を目迎した。
まぶしさに痛い程に目が眩む。
少年は必死で目を凝らした。
徐々に鮮明になってゆく視界に、少年は一人の女性を見つけた。
すぐさまに深々と一礼する。
女性はニッコリと微笑むと、少年へと近付き右手を差し出した。
「あなたがうちのクラスの新入生さんね」
女性はそう言うと嬉しそうに目を輝かせた。
少年の顔から緊張が解けた。
「はい、近藤玲子先生。今日からお世話になります」
何とも凛々しい低音の声でそう応えると、差し出された手に
自分の手を重ねた。
「ずっと待ってたわ。宜しくね」
女性、近藤玲子先生は、満足そうに少年の肩をポンポンと
叩いた。