第3章 取り組むもの
「相変わらず早いな」
目の前の椅子に跨ぐように座るのは森山だ。
「おはよ。自分も朝練無いのに早いね」
「自然と目が覚めるからな。小堀と妹ちゃんは?」
「同じくらいに出たけど置いてきた。私はこの時間が大事ですから…」
机の上に拡げた教科書や参考書を指差す。
私達は受験生だ。
私は朝のこの時間を勉強に当てている。
放課後にも残るが、その時間は無駄なおしゃべりで残る人がちらほら居るから、集中力に欠くし、家に帰ってからは妹がべったり。
だから、朝早めに来て、誰も居ない教室で勉強するのが捗るのだ。
行きたい大学があるという訳でもないけれど、
選ぶなら、未菜や小堀とは別の大学に行こうと思う…。